旅素描~たびのスケッチ

気ままな旅のブログです。目に写る風景や歴史の跡を描ければと思います。

歩き旅のスケッチ16・・・中山道、番場宿から醒井宿へ

 見どころ満載の醒井宿

 

 中山道の最大の魅力は木曽路にある、と思っています。妻籠宿と奈良井宿は、まるで江戸時代にタイムスリップしたような町。宿場全体がよく保存整備されています。また、馬籠宿も、観光地化が進んではいるものの、島崎藤村の「夜明け前」の雰囲気が満載です。

 そして、次に続く魅力的な中山道の道筋の一つが、近江路の後半です。近江路最後の2つの宿場、醒井宿と柏原宿は、木曽路に比べると地味ですが、宿場の面影をよく残しています。

 

 番場宿から醒井宿へ

 番場宿を出ると、直ぐに久禮の一里塚の碑があります。そこから高速道路の高架下を潜り抜け、右方面の集落に入っていきます。そして、集落を出ると、一旦国道21号*1と交わる交差点に出てきます。

 

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※久禮の一里塚跡。

 

 その後国道を横切って、少しの間、旧道沿いに延びる集落内を歩きます。ゆるく湾曲して続く街道は、集落内の民家と溶けあって、のどかな雰囲気をかもし出しています。やがて、再び国道に戻った後は、歩道が無い国道の道を進みます。次に、丹生川(にうがわ)という小さな川にかかった歩道橋を越え、その先を斜め右に進んでいくと醒井の宿場です。

 番場宿からここまでは、わずか4Kmほどの道のりです。

 

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醒井宿入口の道標。

 

 61番醒井宿

 醒井の宿場の中に入っていくと、右上に名神高速道路が見えてきます。そして、その先を少し進んだところから、宿場らしい町並みが始まります。

 しばらく進むと、右手には、西行水の案内看板が。醒井の湧水の一つのようです。

 その辺りから、町の様子はさらに変わります。歴史を匂わせるような建物の造りや、舗装などの修景が施され、映画の撮影場所のようなところに行き着きます。澄みきった水が流れる地蔵川が横切り、さらに、中山道と、その左側面から醒ヶ井駅とつながる道が、鋭角に合流しています。2本の道と地蔵川が一つになるところは、2つの橋が巧妙に連なり、川と橋、そして宿場の街並みを一望できる、趣ある界隈です。

 地蔵川の清冽な流れは、上流の本川と、民家の間の細い石造りの水路から流れ出る支流が合わさって、2つの橋の辺りではより勢いを増している様子です。この支流の出口には、「十王」と記された石灯篭が建っています。この奥が、十王水という湧水の源流なのでしょう。

 

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地蔵川と橋、そして、宿場町の町並み。

 地蔵川には、ところどころに、水面辺りまで下りていく、洗い場のような段差が設けられています。地域の人たちが、そこで野菜などを洗えるように造られているのでしょう。

 また川には、梅花藻(ばいかも)が繁茂し、川筋は、透明な水と砂地のような白い川底、そして梅花藻の緑が、色鮮やかに映えています。ハリヨと呼ばれる、珍しい清流の魚も生息していると、案内板に記されていました。

 

 醒井は、駅は”醒井”と書くようです。この駅は東海道本線米原駅の次の駅。宿場は駅からほど近く、電車を乗り継いで、この宿場を訪れることも可能です。

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※左、問屋場跡。右、正面奥が加茂神社。

 

 宿場町の街道沿いには、飲食店や休憩所も設けられています。また、問屋場跡の資料館など、宿場の歴史を伝える施設も豊富です。

 街道から石段を上ったところにある加茂神社は、歴史ある神社の様子です。この辺りまでが、宿場の中心地。訪れる観光客や旅人に、往時の面影を存分に偲ばせてくれるところです。

 

  木曽路の宿場には、とても及ばないとは言うものの、近江路の醒井の宿場もよく往時の面影を残してくれています。地域の方々の街道への思いが感じられる宿場です。

 

 この神社を過ぎると、道の両側には住居が並びます。空き家がちらほら見かけられます。そして、右に左に少し屈曲する坂道あたりまでが、かつての宿場だった様子です。 

 さらに先に進むと、小高い丘のようなところに、もう一つ、集落が現れました。そして、その集落をゆっくりと下っていくと、一色の一里塚。その後、国道21号に合流です。

 

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※左、一色の一里塚の石碑。右、柏原宿に向かう、国道21号との合流点。

 60番柏原宿へ(かしわばらじゅく)

 国道と合流した後は、右上方に名神高速道路を見ながら真っ直ぐに進みます。途中には、大きな岩が4段に重ねられた、かなり大きな「中山道」のモニュメントが構えていました。

 このモニュメントは、江戸方面からの案内のみで、残念ながら、都方面から歩く者にとっては、通り過ぎてはじめて分かります。

 国道をしばらく歩くと、左手に旧道が見えてきます。国道に沿った建物の裏手に入る感じで、梓川に沿った小さな集落内を進んでいきます。

 

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※岩でできた大きな道案内。江戸方向は手前になります。右の車道は国道21号線

 中山道は、その後、左手の小高い山の裾道をゆっくりと辿っていきます。右手には農地が広がり、その向こうは国道21号です。

 間もなく、近江路の最後の宿場、柏原宿に到着です。



*1:近江路の中山道は、野洲辺りから鳥居本宿を出るまでは、国道8号と離合しながら進んできましたが、番場宿を出てからは、しばらく、国道21号を行き来することになります。